ラピスラズリ、瑠璃
ラピスラズリを手に入れました。
深みのある青が実に美しく、気にいっています。
パワーストーンというのは、一時的なブームを繰り返すオカルトチックな物だと、興味のない方々は思われますが、人が石を信仰した起源は古く、古代エジプトにまで遡ります。
人類が装飾、ファッションに目覚めた時点で、色鮮やかに輝くある種の石たちは、人の生活に取りこまれていきました。
特にラピスラズリは、古くから珍重され、起源前七千年前の新石器時代、インダス文明期のビーズが見つかっています。
ファッションはその頃からあったんですね。
古代エジプトでは「聖なる石」とされ、ファラオや神官階級しか身につけられない時期もあるほど、大事にされてきました。
(これは模造品ですが、ファラオのミイラの青い部分にはラピスラズリが使われています。)
というのも、ラピスラズリは色々な成分が合わさってできた石で、ラズライト、ソーダライトといった青に、パイライトの金やカルサイトの白が複雑に合わさり「夜空の星の色」「天空の破片」などと呼ばれる美しい模様を作り上げます。
昔の人は、手の届かない夜空の一部が、降ってきたのだと想ったのですね。
それを手にしたいと願っていました。
日本でもラピスラズリは貴重な石とされ、仏教の貴重な宝、七宝(しっぽう)の瑠璃とされます。
民芸品の七宝焼きは、この七宝を模し、文様にも取り入れられ、庶民でも手に入るようになりました。
さらに、ラピスラズリは顔料のウルトラマリンとなり「光の画家」といわれたフェルメールの「フェルメール・ブルー」として美術史に残っています。
(青がウルトラマリン、つまりラピスラズリを水に溶かした絵の具。めちゃくちゃ高かったらしいですよ)
わたしはパワーストーンの、何とかの力が手に入る、という効果には中立的な立場を取っています。
そういう事もあるかも知れないし、ないかも知れない。
現実的観点から見れば、石はただの石です。
しかし、あまりに美しい石に人は惹かれます。
たとえば最上級のダイヤモンドなど、ただの石に大金をはたくように。
そこには美的価値以外の、歴史が作り上げた想いもあります。
男女の仲を繋ぐ指輪としてダイヤモンドが尊ばれるのは、石の美しさ以外に、人が「最も貴重なものを渡す」という想いをのせた営為の結果でしょう。
その念(はしょりますがユング心理学のシンクロニシティ的な)あるいは想いが、ただの石に意味をもたらす。
呪いのホープダイヤと呼ばれる、スミソニアン博物館に展示されているブルーダイヤは、持ち主が常に没落したり、不幸な目に合う事で有名です。
偶然の積み重ねか、はたまた何かの力なのか。
人は美しい物に意味づけします。
その結果がパワーストーンなら、石に力はあるし、ないともいえる。
しかし、想像力を喚起するという点では、石にはたしかに力があります。
誰もが知るジブリ映画「天空の城ラピュタ」
その要となる、シータが胸につけた飛行石、あれはラピスラズリです。
ラピスラズリがなかったら、おそらくラピュタは生まれなかったでしょう。
そう考えたら、たしかに石は人の想像力に訴える力があり、わたし達の生活の中に、今もなお影響を及ぼしています。
本来なら、ラピスラズリはここまで安く手に入る事はない宝石でした。
ラピスラズリは、かつては、ほぼアフガニスタンでしか採掘できない貴重品であり、その希少性から宝石扱いされてきたのです。
しかし、そのアフガニスタンで内戦が勃発。
政府は、軍費をまかなうために、国家資源であるラピスラズリを大量に、安く他国に流し始めます。
その結果、価値は暴落し(結局、美的なものって希少性やブランドが値をつけるんですよね)
誰でも手に入る値段になりました。
さらに、エドガーケイシーという、かつて「スプーン曲げ」で一躍テレビの人気者になった超能力が、ラピスラズリを力の媒介にしていると答え(じっさいにはスプーン曲げはトリックであり、ラピスラズリもソーダライトだったという説があります)日本のオカルトブームの中で、需要を満たすため、ハウライトという石を瑠璃色に着色したり、粉末状のラピスラズリを練って形にした安価な物が出回りました。
本物じゃない石は、色落ちしたり、やはり合成であるゆえ、美的価値に欠けます。
そうしてラピスラズリの本来の価値はさらに下がりました。
哀しい変遷を辿ったラピスラズリですが、そのおかけでわたしにも手に入る値段になったあたり、複雑な心境ではあります。
しかし、やっぱり綺麗だなあ。
手に入って良かった。
明日からまた頑張ろうと思います。
これもパワーストーンの効果なら、ヨシ!
あなたも、好きな色の好きな石を手にいれて見ませんか?
それを間近に見て、日々を楽しむ。
パワーストーンも悪くないですよ。
他も読んで頂けたらありがたいです
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